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熊本県の光害防止条例案
 
  県の「意見公募資料」より  
  光害の防止に関する条例(熊本県生活環境の保全等に関する 条例の一部改正案)について  
 

1 用語

◎ 使用する用語の意義を次のように定める。  
   

・光害

 

・照明

 

・屋外照明

・公共の場所

発光器具から照射される光の量又は方向により、動植物や農作物の生育 への悪影響、天体観測への悪影響、交通機関への悪影響等が生ずること。

発光器具から照射される光で照らして明るくすること、又は広告や装飾 を目的として発光器具から光を照射することをいう。

  屋根及び壁面によって囲まれた建物の内部における照明以外の照明。

道路、公園、河川その他の公共の用に供する場所。

 
    (趣旨) この条例において使用する用語の意義を定めるものです。
(解説) 光害が及ぼす悪影響の例として、以下のようなものがあります。
(1) 動植物や農作物への影響
@フクロウやタヌキなどの夜行性動物の生態系に影響を及ぼします。
Aウミガメの産卵行動等に影響を及ぼします。
Bホタルの生息を不可能にする大きな要因となります(飛翔発光活動を抑。 制する、配偶行動を阻害する等)
C植物の光合成などの栄養生理に影響を及ぼします。 、( ) 。
D稲ほうれん草など農作物の生理生態開花時期等に影響を及ぼします

(2) 天体観測への影響;星を観測する場合、背景の輝度が低いほど星は見えや すいと言われていますが、近年、過剰な照明が大気中の水分や塵などで拡散 され、夜空が明るくなることで星が見えにくくなっています。

(3) 交通機関への影響;信号機、交通標識等の視認性に影響を与えたり、運転 者の目をくらませるなど、自動車、船舶等の運行の安全性を低下させること があります。
 
 

2 屋外照明設備の設置者の責務

 
    ◎ 屋外照明のための設備を設置する者は、屋外照明設備の設置又は更新に当た って、目的の照射範囲外に光が漏れることによって光害を生ずることのないよ う努めなければならない。

◎ 屋外照明のための設備を設置する者は、当該屋外照明設備からの照明を必要 最小限にとどめることによって光害の防止に努めなければならない。
 
    (趣旨) 本規定は、屋外照明の設備を新たに設置又は更新する際、また、既に設置されて いる屋外照明設備について設置者の努力規定を定めるものです。

(解説) 照明を行う場合は、当然のこととして、照射する特定の対象物があるはずです。 しかし、この範囲外に光が漏れることで「光害」が生じます。 この「光害」を防止するためには、屋外照明設備を設置又は更新する段階で、照 明を行う目的に即して、必要な範囲を適度な明るさで照らすよう配慮することが必 要です。 また、既に設置されている屋外照明設備についても、例えば、照射する時間を短 くしたり、明るさの度合いを下げるなどといった配慮をすることが必要です。
 
  3 公共の場所の管理者の責務  
    ◎ 公共の場所の管理者は、自ら率先して、屋外照明設備の適切な設置等に努め なければならない。  
    (趣旨) 本規定は、公共の場所の管理者について、率先して光害防止に努めることを定め るものです。
(解説) 良好な照明環境を形成していくため、特に、道路、公園、河川、学校や公民館等 の敷地などを管理する県、市町村などの地方公共団体は、率先して屋外照明設備の 適切な設置等により光害防止に努めていくことが必要です。
 
  4 投光器の使用の禁止  
    ◎ 何人もサーチライトレーザー等の投光器を規則で定める場合を除いて 特定の対象物を照射する以外では使用してはならない。  
    (趣旨) 本規定は、サーチライト、レーザー等の投光器の使用の制限を定めるものです。

(解説) サーチライト、レーザーなどの投光器は光が遙か遠方にまで届くため、周辺に多 大な影響を及ぼします。上空に照射されるサーチライト等の光は漏れ光とは異なる もので、広範囲で夜空の美観を損なうとともに、不快感や天体観測への悪影響など を生じさせます。このため、特定の対象物を照射する以外での投光器の使用を禁止 するものです。 「特定の対象物を照射する」とは、観光資源としての価値を高める等の理由で特 定の建造物等を照射する場合をいいます(例:熊本城のライトアップ) 。
なお「規則で定める場合」とは、祭典等の催し物において一時的に使用する場、 合、事故・災害等発生時又はそのおそれのある時において使用する場合、試験又は 研究のために使用する場合及び法令の規定により使用する場合を想定しています。
 
  5 停止勧告及び停止命令  
    ◎ 知事は、サーチライト、レーザー等の投光器を、特定の対象物を照射する以 外で使用している者に対し、投光器の使用の停止を勧告することができる。
◎ 知事は、投光器の使用停止勧告を受けた者が、その勧告に従わなかったとき は、氏名又は名称及び勧告の内容等を公表することができる。
◎ 知事は、投光器の使用停止勧告を受けた者が、その勧告に従わなかった旨を 公表された後において、なお、その勧告に係る措置をとらなかったときは、投 光器の使用の停止を命ずることができる。
 
    (趣旨) 本規定は、サーチライト、レーザー等の投光器を、特定の対象物を照射する以外 で使用する者に対し、知事が停止勧告、氏名等の公表、さらには停止命令を行うこ とができる旨を定めるものです。  
  6 市町村条例との調整  
    ◎ 知事は、市町村が制定した条例により、当該市町村がこの光害の防止に関す る条例の目的を達成することができると認めるときは、当該市町村について、 この条例の規定を適用しないこととすることができる。
◎ 前項の規定によりこの条例の規定を適用しないこととする市町村及びこの条 例の規定のうち、当該市町村において適用しないこととする規定については、 規則で定める。
 
    本規定は、市町村が制定した条例によって、光害の防止に関する条例の目的を達 成することができると知事が認めるときは、当該市町村については、この条例の規 定を適用しないこととすることができる旨を定めるものです。
 また、その際の市町村及び適用しない規定については、規則で定めることとする ものです。
  現時点でこの対象となるのは、清和村のみです。 (清和村では、平成1 4年6月に「光源の適正化による星空保全及び資源の節約に関する条例」が公布・ 施行されています) 。
 
  7 罰則  
    ◎ 投光器の使用について、知事による停止命令を受けた者がその命令に違反し た場合、5万円以下の過料とする。  
    (趣旨) 本規定は、知事の投光器使用停止命令に従わない者への罰則を定めるものです。  
  8 施行日  
    施行日は、平成16年10月1日を予定しています。  
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